第762回/ガラスの瞳は死の誘い - Bisque Doll(午前2時の迷宮) - ホラー
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第762回/ガラスの瞳は死の誘い - Bisque Doll(午前2時の迷宮)

ホラー
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Bisque Doll

Bisque Doll■制作者/午前2時の迷宮(ダウンロード
■ジャンル/洋館人形ホラー恋愛ADV
■プレイ時間/3時間

高瀬恭一は、妹の奈緒、幼馴染の南条涼香、それに密かに思いを寄せている同級生の水谷秋音の4人で買い物へ行っていた。が、その帰り道道に迷ってしまう。偶然出会った外国人メイド、クレセント・フォリナーの案内で、謎の洋館に連れて行かれる4人。果たしてこの洋館は一体。そして4人は無事帰れるのか? 恋愛要素のある、懐かしの洋館ホラーADV。

ここが○

  • 正統派の洋館ものながら、意外と凝ったところもあるシナリオ。
  • 恋愛要素がいい味付け。むしろメインになる勢い?
  • 攻略しがいのある難易度。

ここが×

  • 涼香ルートはともかく、秋音ルートはちょっと難易度が意地悪のような。
  • 音や背景の関係か、あまり怖さを感じない。
  • 話が動き出すまでが少々退屈。

■ガラスの瞳は死の誘い

最近、ホラー作品も積極的にプレイするようになりましたが、この作品はまだ取り上げていませんでした。初出は2001年3月ですから、20年近く前です。フリーノベルゲーム草分けの時代と言えますね。また「柵の淵」「1999 Christmas Eve」と並んで、この頃のホラーを代表する作品であるとも言えます。どの作品も、私がなかなか取り上げなかったという点でも共通しています(笑)。立ち絵はシルエット。今はあまり見ませんが、ホラーならばやはりこれ、という印象はありますね。

そしてこの作品は「病弱な貴方に捧げる夜想曲」「子猫達の夜」の作者さんによるものです。なんと前回ご紹介から16年振りの登場。何度か作品をご紹介した作者さんは数多くいますが、これほど間が空いたのは初めてです。そしてこの作者さんのサイトはまだ生きていまして、最新作は2年くらい前の公開となっています。これほど息が長く創作活動を続けられてるというのは、それだけで称賛に値することです。

Bisque Dollこの作品は、典型的な閉鎖空間(クローズドサークル)ものなのですが、通常山奥などが舞台になるのに対し、この作品は街中が舞台です。なので普通の洋館ものとは出だしの雰囲気から違います。よく言えばほのぼのして明るい感じですし、逆に言えば少し緊張感に欠けるとも言えます。序盤は、取り止めのない会話が主で、あまり物語が動かないんですよね。一応4人は迷子なのですが、街中であるためあまり緊張感がありません。ここはもう少し出だしから思い切って読者を掴んでも良かった気はします。

館に入ってからは、テンポよく話が動き始めます。シナリオは2ルートありまして、幼馴染の涼香ルートと、恭一(主人公の名前は任意です)が想いを寄せている女生徒であり、恭一の妹奈緒の、演劇部の先輩である秋音ルート。ジャンルはホラーなのですが、恋愛がかなり重要な要素となっており、「恋愛要素のあるホラーADV」というよりも、むしろ「ホラー要素のある恋愛ADV」と言ってもいいくらいです。

そういうこともあって、この作品はホラーであるのに、キャラクター同士のやり取りや主人公の心情描写が軽妙で、楽しく読み進めることができます。これがこの作品ならではの味付けであり、また魅力でもあるのですが、反面怖さという点では少し弱まってしまった感がなきにしもあらずです。まあこれはこれでこの作品の個性とも言えますが。

ただ、それならば音楽や背景画像でもっと怖さをアピールしても良かった気がするのですが、音楽は(この作者さんの作品ではお馴染みの作風ではありますが)あまりおどろおどろしいとか、背筋が寒くなるような怖さを感じさせるようなタイプの曲ではありません。また、背景も加工が独特で(元の写真の面影がない?)、ファンタジーや童話のような雰囲気。背景はもっと実写写真寄りにし、音楽もそういう曲を洗濯すれば、より怖さが増したかも知れません。

その分、それぞれのヒロインとの関係の描写は見応えがあると思います。特に秋音ルートの甘酸っぱさがいいですね。ああ青春してるなあという感じです(ホラーADVなのに)。そしてこの作品、各キャラクターに声がついています。フルボイスという訳ではなく、要所の台詞を喋ります。これがなかなか効果的でした。特にフォリナーの声がかなり怖くて、これはホラーとして非常に効いていました。しかもフォリナーの声が奈緒の声と同じという事実にびっくり。どうぞ演じ分けの面白さも味わってみてください。

ラストはどちらのルートも後味が悪いところは一切なく、実に爽やかに終わります。ただバッドエンドはやたらに多いですので攻略は少し大変かも知れません。パラメーター分岐をするらしく、2人のヒロインの好感度と、もう1つオカルト度(?)というのがあるらしく、選択肢の選び方がちょっと難しいのです。選択肢も一部分かりにくいものもあります。それでも涼香ルートはそれなりの難易度ですが、秋音ルートはかなり意地悪です。一応作中でもヒントは見られますが、もう少しヒントは親切でも良かったような気はしました(作者さんのページには、少し詳しいヒントがあります。それでも難しいですが……)。

ツールはNScripterです。20年前の作品ですが、きちんと既読スキップが実装されています(「選択肢まで進む」と表示されていますが、既読スキップです)。ただ、ダウンロードした状態では何故か動かなかったので、他の作品からNScrを引っ張ってきて動かしましたが(笑)。ハッピーエンドはそれぞれのヒロインに1つですが、バッドエンドが多数あります(エンドリストがあれば良かったかも)。スムーズに行けば2時間半くらいだと思いますが、迷うともっとかかるでしょう。古き佳き時代を思い起こしつつ、頑張って攻略してみてください。

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