第83回/そして夜はよみがえる - Midnight Celebration(千葉ノダヲ&かっち) - 伝奇
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第83回/そして夜はよみがえる - Midnight Celebration(千葉ノダヲ&かっち)

伝奇
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Midnight Celebration

Midnight Celebration準推薦
■制作者/千葉ノダヲ&かっち(公開終了)
■容量/16.5MB

高校2年生の緋央七岐は、今日も部活に顔を出していた。学校裏の神社の境内から、定期的に異形の物が現れる。それらを討つ、それが彼らの「部活」。今宵も、七岐と仲間達の深夜の儀式が始まる。そして頻発する行方不明事件の謎。個性的なキャラクターがおりなす、マルチエンドの伝奇ノベル。

ここが○

  • 特に後半はテンポがよく、どんどん読み進められる。
  • メリハリがあり、盛り上がるシナリオが面白い。
  • キャラクターは個性的で、よく描けている。

ここが×

  • 文章はもう少し素直でも良いのでは。一部のギャグや下ネタもどうかと。
  • 主人公の性格はどうにかならないものか。
  • 特に終盤、頻繁に一人称の視点が変わるのはいただけない。

■そして夜はよみがえる

久々に伝奇アクションのご紹介。もしかして「ひとかた」以来じゃないでしょうか(笑)。私は、伝奇ものはあまり好きという訳ではないので、積極的には手を出しません。基本的に伝奇というのは「胡散臭い」話ですから(笑)。私がレビューした作品でも、伝奇は上記の「ひとかた」の他は「茜街奇譚」「外道狩り」くらいではないでしょうか。改めて、私の趣味の偏り様には驚かされます(笑)。

さて、今作は特殊能力を持つ高校生達が、物の怪と戦うという、典型的なパターン。この手の典型的な作品の場合、えてして序盤で飽きていまいがちですが、序盤のキャラクター描写、中盤のストーリー展開が面白く、盛り上がる終盤へ上手く繋げています。全体がバランスよく、きちんとメリハリがついて仕上がっており、よほどの伝奇嫌いでなければ面白く読めるのではないでしょうか。

ただ、文章はちょっと……。決して下手ではないのですが、体言止めがやたら多かったり、捻りすぎた言い回しがあったりで、「もうちょっと素直に書いた方がいいんじゃ」と思わされなくもありません。ギャグとか下ネタもなあ……。面白いものもありましたが、女性が読んだら確実にひきそうなものもあり、ちょっとどうかと思います。この手の作品の主人公って、どうにも分裂気味のキャラが多いんですが、もう少し普通の性格にできないんですかね(苦笑)。

この作品の面白さは、テンポ良く進んでいく後半にあります。ただ、前半はやたらと時間軸が移動し、後半はやたらと一人称の視点が変わるんですよね。どちらも、「文章」という点から見ると、ほめられた手法ではありません。というのも、どちらも「映像」の手法ですから。最近は、アニメやゲームの影響か、こう言った文章作品も多いですし、小説ではなく「ノベルゲーム」ですから、まあこう言う手法もありかなとは思いますが、それならそれでプレイヤーを置いて行かない配慮は欲しかった気がします。

あと、音楽。あまりにも聞き覚えのある曲ばかり出て来るというか……(苦笑)。良い曲だからこそみんな使うんでしょうけど、探せば知られていない良い曲も沢山あるはず。もう少しこだわりを持って曲を選んで欲しかった気もします(特に「ゆうとっぷ」で使われた曲が、ばんばん登場します(笑))。

キャラクターは立ち絵付きです。凄く上手い訳じゃないですが、決して下手でもなく、良い味出してます。1枚絵もいい感じ。キャラの名前が分かりにくいというか、凝り過ぎで覚えにくいのが珠に傷ですが(苦笑)、主人公と親友の鈴人のやり取りなどは、軽妙で、ともすれば退屈になりそうな前半部に、上手くアクセントをつけています。鈴人の妹の榎穂も良いですね。キャラクターとシナリオのバランスが良いです。

そして、選択肢でシナリオが6種類くらいに分岐するようです。トゥルーエンドは1度目では見られないようですね。シナリオ分岐の作りも巧みだと思います。終盤で鍵を握る事になる、主人公のある秘密が唐突に明かされたのは「え?」でしたけど。まあ本当を言うと前半から「らしい」描写はあったんですが、あまりにぼやかした描写のため、やはりちょっとそこは唐突に感じました。それでも後半の手に汗を握る展開は、十二分に堪能しました。

この作品は、どこかが傑出して優れているという訳ではなく、全体が上手くかみ合って面白い作品になった好例だと思います。要素を上手く組み合わせるこのセンスは、あやかりたいものですね。次回作があるのかどうかは分かりませんが、楽しみに待ちたいと思います。
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