第764回/獅子の瞳と乙女の心 - 恋するダンデライオン(でじたるきゃっと) - 恋愛
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第764回/獅子の瞳と乙女の心 - 恋するダンデライオン(でじたるきゃっと)

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恋するダンデライオン

恋するダンデライオン■制作者/でじたるきゃっと(ダウンロード
■ジャンル/凸凹コンビの不器用恋愛ノベル
■プレイ時間/45分

桐ヶ原学園の名物コンビ、背は低いが男気のある豊城鈴夏と、背が高く女子には男子生徒顔負けの人気がある三島玲桜。1学年上の宇都宮真幸が卒業して以来、2人はお互いを意識することが多くなる。ある日玲桜は、見知らぬ女生徒、下野杏樹を助けるが、杏樹はそれから何となく玲桜が気になり始め……。「スノーフレークのため息」外伝の短編恋愛物語。

ここが○

  • 「スノーフレーク」ファンならばもう一度楽しめる。
  • キャラクターが良く立っており、ボイスも好演。
  • 美麗なグラフィックス。

ここが×

  • 杏樹の過去が少し掘り下げ不足。
  • 恋愛の心情描写が少々弱い。
  • 真幸がほとんど出てこないのが寂しい。

■獅子の瞳と乙女の心

割合最近、「マルベリーの花」を取り上げた作者さんの新作です。そしてこの作品は、過去に取り上げた「スノーフレークのため息」の外伝的な作品。メインヒロインは、「スノーフレーク」のサブヒロインである三島玲桜。あちらにももちろん玲桜エンドはあったのですが、この作品では、鈴夏がどちらともくっつかないまま真幸が卒業した後という感じの設定です。なので、同様の舞台のちょっとしたif展開と言えましょう。

今回は新キャラが登場します。名前は下野杏樹。杏樹は、入学式の後の(多分)夜に、夢中になって小説を読み過ぎたせいで寝不足。通学路で倒れかけてしまいます。そこで助けてくれたのが三島玲桜。背が高く、見た目も格好良い玲桜に、思わずくらっときてしまう杏樹。出だしはこんな感じです。前回の主人公である鈴夏ももちろん登場しますが、今回は杏樹と玲桜が主人公で物語が進みます。

恋するダンデライオン前回同様、玲桜は非常に芝居がかった言い回しをする、ともすれば嫌味を感じさせかねないキャラクターですが、性格づけと描写の巧さで、格好よさだけが強調され、嫌味な部分は感じさせません。キャラクター描写は「スノーフレーク」よりも一層洗練されている印象を受けました。また、鈴夏とのコンビも相変わらず魅力的。今回、鈴夏にも立ち絵と声がついていましたが、イメージに合っていてとても良かったと思います。

そして、前回のレビューで「名前だけしか出てこない玲桜の妹、真桜と美桜を活用してみても良かったのでは」と書きましたが、今回はその真桜と美桜も登場します。大事なところで意外とキーポイントとなる活躍を見せてくれました。今回は「素直になれない2人」系のシナリオなのですが、この手の物語では、メインの2人もさることながら、脇を固める登場人物が大事です。その意味で、この姉妹はさり気なくしっかりサイドを支えてくれている、名脇役だったと思います。

反面、主役級の杏樹の扱いが少し中途半端だったようにも感じます。もちろん、しっかり活躍はしてくれるのですが、彼女の行動の土台となる過去のとある出来事について、彼女の台詞で軽く語られるだけなので、ちょっと「え、いきなりそれ?」という印象がありました。もう少し杏樹の過去の体験については、例えば過去回想などで前半から何かしらフォローが欲しかったような気がします。

あるいは、もっと玲桜側(鈴夏側でもいいのですが)の想いに焦点を当ててみても良かったかも知れません。玲桜の過去も少しモノローグで語られますが、そこをもっと膨らませても面白かったでしょう。今作はそれほど尺の長い物語ではありませんから、杏樹の過去なのか、玲桜または鈴夏が自分の気持ちに気付くまでなのか、どちらかに的を絞った方が、収まりの良い物語になったような気がします(いえ、今のままでも収まり自体はいいんですけど)。

とは言え、恋愛ものとしては手堅い作りで、オチも綺麗です。不器用な2人の焦ったい様子がよく描けていますし、そこに杏樹、真桜、美桜が絡む様子がいいですね。何せキャラクターがよくできていますから、取り立てて大きなイベントが起こらなくても、彼らのやり取りを見ているだけで十分に楽しめますし、その描写スタイルがこの物語に非常に合っていたと思いました。実は「登場人物のやり取りだけで楽しませる」というのはかなり難易度の高い技術だと思います。「マルベリーの花」でも思いましたが、この作者さん(シナリオ担当さん)のキャラクターの動かし方は、非常に上手いなと今回も感心させられました。

1枚絵は少ないのですが、グラフィックスは今回も大変綺麗です。クリアすると見られるタイトル絵は、玲桜ファンには嬉しいご褒美ですね。また主要キャラクターには声が入っており、みんな好演です。1箇所だけ、玲桜の可愛らしい声が聴けるのが嬉しいサービス(?)。今回は、「スノーフレーク」のメインヒロインである真幸は少ししか出てこないのですが(卒業していますからね)、もう少し彼女の出番が欲しかったと、真幸ファンの私は思いました(笑)。

ツールはティラノスクリプトです。選択肢はなく、プレイ時間は45分くらい。声を全部残らず聞けば、倍くらいになるかも知れません。「スノーフレーク」をプレイしていなくても、この作品単体で十分楽しめますが、前作をプレイしている方がより楽しめますので、未プレイの方は前作からプレイすることをお勧めします。恋愛ものとしては王道の作りながら、随所に細かい工夫がされており、恋愛もの好きの方、「スノーフレーク」ファンの方には楽しめる短編作品だと思います。
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