第771回/俺はいつもお前を見てる - Dear(plan.9t.) - 探索・謎解き
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第771回/俺はいつもお前を見てる - Dear(plan.9t.)

探索・謎解き
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Dear

Dear■制作者/plan.9t.(ダウンロード
■ジャンル/友情で殺害予告探索ノベル
■プレイ時間/1時間15分

人付き合いが苦手で、高校の時は虐められていたかんざきとうやのところに、ある日動画の殺害予告が届く。時を同じくして、とうやの周りで通り魔による殺人事件が。とうやは唯一の親友、みずきそらと共に、殺害予告を出してきた犯人を探すことに。果たして犯人の目的は? そして犯人はいったい誰なのか? 友情をテーマにしたミステリー風探索物語。

ここが○

  • とうや、そら、それにいつきの友情。
  • スマートフォンを上手く使った演出や展開。
  • ノスタルジーを感じさせてくれるラスト。

ここが×

  • フェードイン・アウトなどの時間が長く頻度も多いので、ストレスが溜まる。
  • 描写不足を感じるところが。
  • ヒロインの影が薄い。

■俺はいつもお前を見てる

フリーノベルゲームで、男同士の友情を描いた作品は、多くありません。たまにあっても、何だか友情というよりはBLのような方向へ行ってしまっている作品が多く(笑)。そんな中、この作品は純粋に男同士の友情をメインに据えて描いています。もちろん、ヒロインらしきキャラクターも登場しますが、添え物のような扱いで、あくまで主眼は男同士の友情です。

出だしからなかなか刺激的です。主人公のかんざきとうや(この作品、何故か登場人物が全員平仮名表記です)は、少々他人と関わるのが苦手な男(二十歳くらい?)。そんな彼のスマートフォンに、ある日SNSのダイレクトメッセージ機能を使い、動画による殺害予告が届きます。そして彼のアパートの外には、見るからに怪しい男が……。とうやは、唯一の親友であるみずきそらに助けを求めました。

Dearこの作品で特徴的なのは、演出に上手くスマートフォンを使っていることです。スマートフォンに何か通知や呼び出しがあると、通知音がして、右上のスマートフォンアイコンをクリックし、電話などの機能を使えるというもの。電話だけでなく、SNS(ツイッターならぬ「ツッタカター」(笑))のダイレクトメッセージも織り込んでいたり、今風です。それが上手く展開にも生かされていて、面白いですね。

また、演出も凝っています。スマートフォンを使って動画サイト(Yourtube)を開く時や、冒頭で主人公の部屋の窓ガラスが割れるところなど、あるいはラスト近くの教室探索シーンなど、随所に面白い仕掛けが盛り込まれており、読者を物語に引き込んでくれます。そもそもこういう冒頭部ですので、普通にやってもプレイヤーの興味をひけると思うのですが、仕掛けと物語の相乗効果でプレイヤーを掴むやり方はとても上手いと思いました。

反面、演出が少しうるさく感じるところもありました。読むだけの一本道の物語ならまだしも、この作品は結構何度も同じ場面を見ることになるため、何度もプレイしていると少しストレスがたまります。フェードイン・フェードアウトもかなりゆっくり目で、特にBAD END 2は何度も見ることになるため、もう少しプレイヤーに優しくして欲しかった気がします。困ったことrに、途中までBAD END 2と同じという展開もあるため、さっさとウィンドウを閉じていたらいつまでもクリアできませんし。

さて、物語は主に昔の知り合いに聞き込みを行うことで進んでいきます。本格的に謎を解くわけではなく、選択肢が全てですので、総当たりしていればそのうち解けるはずです(でも、BAD END 1だけはちょっと難しい)。この物語の主眼は、謎解きよりはむしろ、主人公とうやを囲む人間関係ですね。そらはもちろんですが、高校の時の同級生であるいつきが、要所でよく効いていました。

実はとうやは高校の頃いつきにいじめられていたのですが、お話の中でそのわだかまりが解けるようになっており、こういう作りはいいなと思わされました。別にこの作品のメインテーマはいじめではないのですが、そらとの友情だけでなく、いつきとの関係も入れたことで、物語が両側からしっかり支えられていたという印象ですね。いつきとの新しい関係が垣間見えるBAD END 4は、そういう意味で必見です(バッドエンドなんですけど)。

そして、ラスト近くの演出も光りました。教室でのちょっとした探索の末見つける手紙と、そこに隠されたメッセージには、心動かされることでしょう。この教室探索シーンは、廃校になる学校という設定も手伝って、ノスタルジーを感じさせてくれましたし、手紙の演出も粋でした。こういう友人がいるっていいですね。真犯人の動機については、若干お騒がせ感を感じなくもないのですが(笑)。

ただこの作品、いわゆる地の文が少なく、少し描写というか説明が不足しているところがまま見られます。一応謎解きの部類に入る物語ですし、要所ではもう少し説明があっても良かったような気がしました。まあ、あえて細部まで解説せずに、ある程度読者の想像に任せるようなところが、この作品の作風に合っているような気もするのですけどね。

ツールはティラノスクリプトです。選択肢は結構多く、エンディングはトゥルーが1つ、バッドが5つの合計6つ。作品サイトから各バッドエンドのヒントが見られますが、実は4と5のヒントはありません。4と5はさほど難しくないと思いますので、頑張って到達してみてください。プレイ時間は1時間から1時間半。派手さはないものの、じわりと心に染み入ってくるような余韻を残してくれるストーリーです。少し歯応えがありますが、ヒントも参考に真犯人の「想い」を是非味わってみてください。
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