第775回/カメラ越しでも七不思議 - 学校七不思議5(銀の盾) - ホラー
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第775回/カメラ越しでも七不思議 - 学校七不思議5(銀の盾)

ホラー
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学校七不思議5

学校七不思議5■制作者/銀の盾(ダウンロード
■ジャンル/夜の学校取材ホラーADV
■プレイ時間/2時間

夏の怪奇特集として、過去に女生徒が行方不明になったり、不可解な死を遂げた、曰く付きの高校に、取材班がやってきた。その高校生の卒業生であるカメラマン、ADや、有名な霊能力者がやってきて、最初は何事もなくよくあるオカルト特集のように進んでいたのだが、やがて取材クルーたちはその学校の恐怖に直面する。お馴染みのシリーズ最新作。

ここが○

  • 最新作だけに、絵も演出も大幅に進化。
  • 多数のエンディングは攻略のしがいあり。
  • ホラーとしても進化しており、怖さが3割増し(当人比)。

ここが×

  • やはり明らかにならない七不思議の七つ目。
  • いきなり終わってしまうトゥルーエンド。
  • 怖さは十分だが、ホラーならではの悲壮感などは少し弱かったかも。

■カメラ越しでも七不思議

初出が2000年の「学校七不思議」の5作目です。今作の登場は2016年ですから、何と16年に渡って同じシリーズを作り続けていることになります。創作という趣味は、なかなか継続するのが難しいものですが、フリーノベルゲームでこの驚くべき息の長さは、特筆に値します。同じシリーズで5作というのは、私が取り上げた作品の中では最長だと思います。

このシリーズ、メインである美加と絵梨は固定ながら、毎回主人公が変わりますが、今回は舞台となる高校の卒業生で、テレビ局の雇われカメラマンである大矢清司が主人公です。まあ、過去作品全てで、この作品の主人公は美加と絵梨のように思えますので、今作の清司も物語の案内役くらいの位置づけという感じはするのですが(立ち絵があるのは今回も美加、絵梨、花子さんだけですし)。ともかく清司を語り手にして物語が進行していきます。

学校七不思議5今回は、とあるテレビ局に視聴者から送られてきた写真が発端。それは、舞台となる高校で、窓際に2人の女生徒が写っている写真だったのですが、2人が透けて写っているのです。もちろん、デジタルカメラや画像加工ソフト全盛の現代、こんなものは簡単に作れてしまうのですが、そこは視聴率さえ取れれば何でもありの世界。この写真をネタに怪奇特集番組を作ろうと、テレビ局のクルー達が(ろくろく事前準備もせずに)夜の学校に取材に乗り込んできます。

そういう訳で、今回の登場人物達は全員テレビ局の取材陣です。プロデューサーの東川や、(自称)霊能力者の柳畠が、何というか典型的な駄目な大人で、ちょっと笑ってしまいました。特に柳畠は霊能力者というより「零」能力者と呼んであげたいくらい。彼のクズっぷりは潔いくらいで、柳畠が酷い目にあった時は、全く同情心が起こりませんでした。悪役は、これくらい振り切れさせるのがいいのかも知れません(笑)。

さて、高校に潜入した撮影班は、七不思議(と言っても6つしかないのですが)を1つ1つ検証していきます。選択肢でそれぞれのスポットを選択肢、そこで何か事件が起こったり起こらなかったりして、まだ全員の命があれば(!)次のスポットに行くという流れです。そこまで1つ1つのルートが長い物語という訳ではないのですが、このスポットを選ぶ順番も攻略に絡みますので、結構大変です。

今回は登場人物が非常に癖の強い人物ばかりです。東川や柳畠は言うに及ばず、ヒステリックに叫ぶ女子アナの新荘絢奈もかなりアレで、ホラー的展開で彼らがばたばたと倒れていくのは、ある種の爽快感すらありました(笑)。なのでこの手のホラーにつきものの、追い詰められる恐怖感などは少し弱かったように感じます(怖さそのものとは、また別のお話)。ただそれによって、割と普通人の感性を持っている清司や榎基との対比がしっかり描かれており、こういうホラーの描き方もアリなのだなと思わせられました。また、登場人物が薄汚れた(笑)大人ということで、今までとは違った意味でホラーとのマッチングも感じられました。

そして今作は、清司や榎基の高校生時代の回想、そこで思い出される担任教師亮子の言葉、加えて仕事に対する思いなどを交えて物語が進んでいきます。ただのホラーではない、人間味のある物語が隠されていると言っていいでしょう。ただ、トゥルーエンドでは、後半の盛り上がるシーンで、かなり唐突にラストシーンに突入してしまい、その辺りが十分描かれていないのが、少し残念でした。ラストシーン自体は印象的だったのですが、もう少しクライマックスを長く描いてみても良かったのでは。

ちなみに今作は、画面サイズもかなり大きくなり、演出も今風に凝っています。ホラー作品で、あまりアニメ風の演出に凝りすぎると、逆に想像の余地がなくなって怖さが失われる、なんていうのはよくあることですが(絵がほとんどなく、演出も地味な「1999 Christmas Eve」が、そのために想像力を刺激されていかに怖かったことか)、この作品はその辺はかなり絶妙なラインをついていました。今風になりながらも、ホラーの怖さを損なわない程度に、節度の効いた演出が優れていました。

なお、今まで明らかになっていない「七不思議の七つ目」は、今回も明らかになりませんでした。一応少しだけ仄めかされはしたのですが、今までも語られている程度の内容です。これについてはまた次回作を待つしかないようです。今作も最後には恒例の次回予告がありましたので、「6」も制作中ということなのでしょう。予告編に見る「6」は、また今までとは毛色が違う物語になりそうで、期待をそそられました。

ツールは吉里吉里です。エンディング数は14。単純な選択肢分岐ではなく、上に書いたように七不思議スポットを選ぶ順番なども絡むようで、結構歯応えがありますが、私が独力で完全クリアできたくらいなので、頑張ればいけると思います。プレイ時間は、全エンドを制覇して1時間半から2時間くらい。これくらいしっかりした分岐ADVは、最近では珍しい存在となってきていますから、ホラーが苦手でも、分岐ADVが好きであれば、きっと楽しめると思いますよ。
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