第782回/旅人たちは魑魅魍魎 - 散華奇譚(ひとさじ) - ファンタジー
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第782回/旅人たちは魑魅魍魎 - 散華奇譚(ひとさじ)

ファンタジー
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散華奇譚

散華奇譚■制作者/ひとさじ(ダウンロード
■ジャンル/大正浪漫の和風ファンタジーノベル
■プレイ時間/50分

舞台は明治、大正期の帝都。両親と街を歩いていた小夜子は両親とはぐれてしまい、見知らぬホテルへ迷い込む。現れた支配人によると、そこは妖怪たちが利用するホテルであり、どこかにある鍵を見つけて脱出しないと、じきに小夜子も妖怪になってしまうという。小夜子は、客室の妖怪たちに会って鍵を探し始める。大正浪漫漂う和風ファンタジー。

ここが○

  • 面白い舞台設定。
  • 実はいい人たち(?)ばかりの妖怪との交流が、心和む。
  • 可愛いイラスト。

ここが×

  • システムが不安定で、ロードしたらそれっきり止まったりする。
  • セーブの箇所が4箇所しかない。
  • 終わり方が少し味気ない気がする。

■旅人たちは魑魅魍魎

珍しい舞台設定の作品のご紹介。これは公開がごく最近ですね。舞台は明治か大正辺りの日本。最近レビューした作品では、「笑顔の君で」が大正時代の日本を舞台とした恋愛ものでしたが、のどかな地方都市が舞台だったあちらと比べると、こちらは同じ大正でも舞台が帝都なだけに、モダンで都会風の味わいを感じさせます。ハイカラな大正浪漫と言った趣きの作品です。タイトルは「さんげきたん」と読むようです。

作中で戦争云々というキーワードが出てきますが、時代が明治、大正ですから、日清戦争か日露戦争なのでしょうね。その戦争で兄を亡くした少女、小夜子が主人公。両親と帝都を散策していたところ、両親とはぐれてしまい、謎のホテルに迷い込みます。そこで小夜子を出迎えた支配人フフナーゲルは、何故か体の全てが白黒の男。彼によると、ここは妖怪のためのホテルで、小夜子はこのままではここから出られないとのこと。

散華奇譚納得できずフフナーゲルに詰め寄る小夜子に、彼は脱出したくば、客室を回って探索し、鍵を見つけるように言います。そして、あまり長時間小夜子がこのホテルの中にいると、小夜子自身も妖怪になってしまうんだとか。もちろんそんなのはまっぴらごめんの小夜子は、フフナーゲルを伴ってホテルの部屋を探索するのでした。ホテルの部屋番号がめちゃくちゃなのが、妖怪っぽいです(?)。

探索が始まると、どの部屋を回るかを選択肢(二択)で選びます。それが3回。部屋には個性豊かな妖怪がいますが、このホテルの客室は、泊まった妖怪にとって一番居心地のいい環境になるらしく、部屋に入る度に全く違う光景が眼前に広がります。これはいいアクセントになっていますし、単調になりがちなこの手の探索タイプの作品を彩る、いいアイディアだったと思います。

妖怪が泊まっている客室を探索するというと、ホラーめいたおどろおどろしい展開を想像するかも知れませんが、登場する妖怪たちはちょっと癖はあるものの、みんないい人(?)揃いです。それぞれの妖怪にそれぞれ印象的なエピソードが用意されており、何だか心温まります。火事で持ち主の家が焼けた人形や、親元を飛び出したら透明人間になってしまった少年など、それぞれの妖怪は個性も豊かでデザインも面白く、新しい部屋に入る度に「次はどんな奴が出るかな」とわくわくできました。

立ち絵や1枚絵は、線がはっきりし、メリハリの利いた可愛い絵柄です。可愛すぎて妖怪ならではの怖さ、不気味さというものはあまり感じさせませんので、そこは好みが分かれるところかも知れません。しかしこの作品は、怖さというよりは、妖怪との個性豊かで人間味溢れる(という表現も変ですが)温かいやり取りが見所ですから、個人的にはこの絵柄は作風に合っていると思います。

ラストは、兄を戦争で失ったという設定からすると、予想の範囲内の展開ではあります。しかしトゥルーエンド(ED1)における、小夜子の決別の言葉はなかなか重く、じんわり胸にきます。欲を言えば、そこまでにもう少し伏線が欲しかったですね。真相を殊更に隠すタイプの話でもないですから、もう少し兄とのエピソードなど、積極的に盛り込んでみれば面白かったかも知れません。また、終わり方は少しそっけないようにも感じました。しかし、ほのかに余韻を残す、味わい深いラストでした。

ただこの作品には最大に困った点があります。ティラノならではというか(汗)、セーブした後ロードすると、そのままうんともすんとも言わなくなることが多発しました(選択肢でセーブした時に目立った印象。選択肢を押しても何の反応も無くなったり)。マルチエンドの作品でこれはかなり参りました。その都度かなり前からやり直す羽目に。ツールの問題なのかスクリプトの問題なのかは分かりませんが。またセーブ箇所がちょっと少ないように思いました。選択肢が多い作品ですし、もう少しセーブ箇所は多くても良かったのでは。

ツールはティラノスクリプト。エンディングは全部で4種類です。私は、ED1、3、4は比較的楽に見られましたが、ED2は少しだけ手こずりました。ED1がトゥルーエンド(ハッピーエンド)という位置付けです。上に書いたようにセーブ&ロードに色々難がありますので、無事セーブできたら、そこを拠点に攻略するのがいいでしょう。ストレートに行けば30分くらいだと思いますが、私は少し迷って40分位かかりました。設定、キャラクターと個性的な和風ファンタジーで、あまり見ないタイプの物語です。気軽に楽しんでください。
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