第789回/私は狂気の影法師 - 神無月の夜2 ~踊る幻想の影法師~(Sky Horizon) - アクション・ドラマ
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第789回/私は狂気の影法師 - 神無月の夜2 ~踊る幻想の影法師~(Sky Horizon)

アクション・ドラマ
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神無月の夜2 ~踊る幻想の影法師~

神無月の夜2 ~踊る幻想の影法師~■制作者/Sky Horizon(ダウンロード
■ジャンル/クローンと猟奇殺人の謎ノベル
■プレイ時間/3時間

松谷希罹也は、アニヲタであることを除けばどこにでもいるような中学2年生。幼馴染の真冬や友人たちと毎日楽しい学校生活を送っていたが、ある日同じクラスにかつての友人、横溝春奈が転校してきた。すぐに打ち解けあう希罹人達。その頃希罹人の住む霧ヶ峰市では、謎の通り魔殺人事件が市民を恐怖に陥れていたのだが。ホラー風学園ドラマの続編。

ここが○

  • 個性的なキャラクターのやり取りは変わらず楽しい。
  • 後半からラストのぶっ飛んだ展開は必見。
  • キャラのやり取りのテンポが良く、長さを感じさせず読める。

ここが×

  • 日本語が怪しい箇所が結構ある。
  • 説明不足を感じる箇所が多い。
  • 前半はなかなか事件が起こらず退屈。

■私は狂気の影法師

最近、新しい作品でどうも目ぼしいものに出会えません。特に1時間から3時間くらいの、休みの日に1日で読めるくらいのちょうどいい作品は、非常に少ないという印象。ここ最近に限りませんが、10分以内の掌編が物凄く多いですからね。掌編は掌編で気軽に読める良さはありますが、時間がある時は、やはりそれなりに読み応えのある作品を楽しみたくなります。

そういう時は、過去にプレイした作品の作者さんの、別の作品を探すことにしています。この作品はタイトルからも分かるように、「神無月の夜 ~why they die 0~」の続編です。なのでキャラクターもほぼ共通。前作をプレイしたのは1年半くらい前なのでほとんど忘れていましたが、個性豊かな登場人物ですので、読み始めるとすぐに思い出し、懐かしい知人に再開したような気持ちで読めました。これがシリーズ物の良さですね。

神無月の夜2 ~踊る幻想の影法師~前作は、夜の学校を舞台にした、閉鎖空間ものでした(もっとも、物語が本題に入るまでが凄く長かったのですが)。今作もホラー風の味付けがされてはいますが、閉鎖空間ものではなく、大分味わいが異なります。冒頭ではとある登場人物が霧ヶ峰市にやってくる意味深な描写から入り、その後主人公希罹也のかつての友人、横溝春奈が転校してくるという、学園ものとしては定番の出だしです。

前作も物語が本題に入るまでがやたらに長かったのですが、今作も序盤は事件らしい事件が起こらずちょっと退屈です。プレイ時間で40分くらいは、特に目立ったイベントもなく、普通の学園もののような展開が続きます。まあキャラのやり取りが楽しく読めるのはいいのですが、もう少しメインの通り魔殺人事件の描写とか、後半で表面化する色々な要素の伏線を、前半から張っておいた方が良かったように思いました。

もう1つ。この作品は細かいところに少し操作性の不備が目立ちます。タイトル画面からメニューを選択しても何故か反応せずにまた選択しなくてはならなくなったり、また文字速度を変更しても、また元に戻ったりします。文字速度は、一度コフィグ画面に入れば元に戻るのですが、それにしてもこれが起こるのが一度や二度ではなく、ちょっとプレイのストレスになりました。日本語も怪しい箇所が多く、「狐寝入り」には少しずっこけました(確かに英語では狸寝入りのことを「fox's sleep」と言いますけど)。

さて、物語は中盤からだんだん動き始めます。前半にほとんど伏線が張られておらず、展開としてはちょっと荒っぽい感じは否めません。が、逆にそのため、読み手に与えるインパクトはかなりのものです。特にラスト近く、春奈に隠された秘密が明かされた時は驚きました。伏線が巧妙に張られていたら割と気付くような秘密なのですが、少し荒い展開も手伝って、まさかそんなことが隠されているとは夢にも思わなかったのです。

物語は終盤に選択肢で3つのルートに分岐します。春奈ルートは、全てが明らかになる一番まとまったルート。あれだけの事件を起こしたにしては、オチが綺麗すぎる気もしますが、読後感も良く、この作品のメインルートと言えましょう。香ルートは、狂気ルートと言いますか、ある意味この物語の本領発揮という気がするシナリオです。ただ終わり方が突然の上、エピローグで突然日常描写が入ってきたのは、どういうことかと首を捻ってしまいましたが、展開としては面白いと思います。

そして真冬ルート。真冬がメインヒロインのはずなので、ここがメインルートだと思って最後に読んだのですが、これは香ルート以上に突然な終わり方です。終わり方自体は綺麗ですが、狂気の香ルートと比べ展開自体は実に普通なので、唐突感がちょっと強く感じました、更にその後のエピローグのラストがとんでもなさすぎで、しばらく固まってしまいました。いいのかそんな終わり方で、と(笑)。

全体に構成に少し難を感じることが多く、説明不足なところが目立ちます。なので作中の事件を登場人物と(精神的に)同じテンポで追いかけられずに、ちょっと物語に入り辛く感じました。また、さっきまで緊迫したシーンだったと思ったら、いきなりパロディ全開のお笑いシーンが入ったり、シーンの流れとしてもどうだろうと感じる場面が多かったのは事実です。しかし、独特の楽しげなノリで長さを感じさせずに一気に読ませてくれる物語でした。しっかり立ったキャラクターは、それだけで物語を引っ張る力があるんだなあと、改めて感じさせられた次第です。ゲーム部での楽しげな活動の様子は今回も健在。

ツールなNScripterです。ティラノがこれだけ増えた今、久々にNScrの作品をプレイすると、故郷に帰ってきたかのような安心感がりますね(笑)。作品ページにはプレイ時間1〜2時間とありますが、その時間で読むことはちょっと困難でしょう。私は2時間半でした。普通の速度で3時間でしょうか。3つのエンドは分岐条件も難しくなく、攻略は容易です。既に「3」も公開されているようで、希罹也達が再びどんな活躍を見せてくれるのか、プレイしてみたいですね。細かいことを言えばツッコミどころも多い作品ですが(設定に無理があったり、医学的考証が凄かったり)、しかしフリーらしいパワーに溢れているこういう作品、私は結構好きです。
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