第791回/明日は明日の田舎道 - あしたは田舎(あめんかんどりぃむ) - 病院・闘病
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第791回/明日は明日の田舎道 - あしたは田舎(あめんかんどりぃむ)

病院・闘病
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あしたは田舎

あしたは田舎■制作者/あめんかんどりぃむ(ダウンロード
■ジャンル/田舎の不良医師人情ドラマノベル
■プレイ時間/1時間半

とある田舎の村の診療所の若き医師、荒井統。そんな彼の診療所の元に、新しくやって来た看護師、山口七海。ちょっとおっちょこちょいな七海は、患者に憎まれ口を叩く統を最初は怖がっていたが、タクシードライバーのケンさんや、統を慕う外国人女子中学生サラとの関わりの中で、徐々にこの村に馴染んでいく。田舎村で繰り広げられる医療人情ドラマ。

ここが○

  • 主人公である統が魅力的なキャラクター。
  • その他の登場人物も人情味があっていい。
  • 程よくコミカルで程よくシリアスなバランスの良さ。

ここが×

  • 一部のキャラクターの扱いがちょっと適当。
  • 2つのルートで統の性格が統一されていない。
  • テンポは良いが伏線が不足して唐突気味の展開。

■明日は明日の田舎道

ここのところ仕事が忙しく、平日はなかなかレビューを書けません(それ以前にプレイする意欲が湧かず)。仕事が落ち着くまでは、休日に何とか書いていければと思っています。今回も、最初は新作をあたってみましたが、なかなかひかれる作品に出会えず、またも古めの作品からご紹介です。初出は10年前。プレイして思い出しましたが、実はこの作品、以前読了済みでした(何故レビューしていなかったのか)。

舞台となるのは田舎の診療所。使用されている背景素材は、どれもいいものを使っており、雰囲気は上々です。田舎の山村の空気がよく出ています。ストーリーとは関係はないのですが、主人公である統が乗っている車「ビュート」(ミツオカというメーカーが作った車です。ベースは日産マーチだったような)の写真に驚いてしまいました。こんな台数の少ない車の写真がそうそう転がっているとも思えませんし、作者さんの関係者のどなたかがビュートに乗っていたのでしょうか?

あしたは田舎冒頭は、都会の病院を辞めた看護師、山口七海が列車に揺られているシーンから始まります。駅で下りた七海は、親切なタクシー運転手ケンさんに連れられて、彼女が働く予定の診療所にやってくるのですが、そこで七海を出迎えたのは、なんと顔に傷のある強面の医師。先行きに不安を感じつつ、七海はその医師荒井統の診療所で働くことになったのですが。こんな感じです。ちょっと抜けたところのある天然キャラの七海と、ぶっきらぼうで口が悪い統の組み合わせが面白く、序盤から楽しませてくれます。

他の登場キャラクターも個性派揃いです。初音ミクのシャツを着たロリコン三十路男伊藤は、統に「クソデブ」としか呼んでもらえません(笑)。ネットゲーム廃人の霧島も、統にいいようにあしらわれます。そうかと思えば金髪外人女子中学生のサラは、逆に統を若さで翻弄。他にも、立ち絵が出ないながら、面白いキャラクターがたくさん出てきます。せっかくなので、全員の立ち絵が出れば良かったんですが、それは流石に贅沢ですね。

舞台はほとんどが診療所の中ですが、そんな訳で登場人物が多彩で個性的なので飽きさせずに読めます。登場人物の絡みで物語が少しずつ進むテンポも良好。ただ登場人物の性格が少々極端ですし、統の傍若無人な振る舞いが鼻につく人もいるかも知れません。まあ、彼も最初から最後まで傲岸不遜という訳ではなく、締めるべき場面ではきちんと締めてくれる格好良さもありますが。

ルートは2つです。ナースの七海ルートと、統の友人であるいずみルートです。七海ルートは正統派の病院もの風の展開。サラが実は重い病気を持っていて……というようなシナリオ。伏線が十分でなく、病院ものとしては独特の緊迫感が少し薄く感じました(ここらはキャラクターの性格付けも関係しているとは思います)。統の昔の友人の話や、サラの過去などをもう少し語っても良かったのではないでしょうか。しかし統が最後きちんと決めるのは爽快で、最近あまり見なくなった、ストレートな病院ものの味わいを楽しめるルートです。

いずみルートは、ちょっと変わった展開です。いずみはいずみでやはり病気を持っていますが、あまりそちらは主眼ではありません。七海やサラ、霧島が、街中で本来いるはずのないいずみを見たと言います。いるはずのないいずみの正体は、という感じの展開。こちらはこちらで、もう少しミステリアスさを強調する演出や伏線があっても良かった気がします。特に、いずみの妹については何か言及が欲しかったような気がします。

またこちらのルートでは統の性格がなんだか七海ルートと違ったような……と思ったら書いている人が別でした。それはそれで、複数ライターによる作品の面白さですから、これもありですね。もう少し統といずみの関係に踏み込んでも面白かったかも知れませんが、七海ルートとはまた違う、統の一面が見られて、こちらのルートもなかなか楽しめます。七海、サラ、いずみと、立ち絵のあるメインの女性キャラが、みんな魅力的なのがいいですね。

基本的には、コミカルで突っ走っている感じのノリなのですが、そこに時折シリアスな場面が入る、そのギャップが面白い作品です。ただ、統を始めとするキャラクターが、シリアスなシーンでもコミカルなノリを変えませんので、いまいちシリアスになり切れていない嫌いはあります。大ニュースの時もいつもの番組を貫くテレビ東京のようで(笑)、ある意味潔いとも言えますし、それがこの作品の持ち味であり、魅力でもあるのかも知れません。

ツールは吉里吉里です。10年前の作品ですが、デザインその他にも手がかかっており、今プレイしても古さは感じません。選択肢は1カ所なので攻略は簡単。しかもその選択肢で、「こちらは誰ルート」と表示される親切さ(笑)。1ルート目は50分、2ルート目は40分弱くらい。合わせて1時間半というところだと思います。最近はあまり病院ものは見ませんし、今プレイすると逆に新鮮な感覚で楽しめるのではないでしょうか?
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