第87回/そして葵は今日も朝陽の椅子を引く - White Epilogue(ReIce-zero-) - 学園・青春
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第87回/そして葵は今日も朝陽の椅子を引く - White Epilogue(ReIce-zero-)

学園・青春
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White Epilogue

White Epilogue準推薦
■制作者/ReIce-zero-(ダウンロード
■容量/24.3MB

城崎朝陽と日乃葵は、幼なじみ同士で恋人同士の高校2年生。先輩の日加賀未来が部長を務める新聞部の部員だった。ある時、新聞の記事のネタを探していた葵は、数年前からこの街で起こっている連続失踪事件を取り上げようと提案するが。意外な事実、後半の急展開が感動を呼ぶ、選択肢なしのノベル。

ここが○

  • 後半の急展開と、緊張感のあるテキスト。
  • 感動できるラスト。
  • 巧妙に張られた伏線。

ここが×

  • 単調で退屈な前半。退屈な上、前半は文章が上手いとは言い難い。
  • 結局明らかにならない一部の謎。
  • かなり無理がある犯人の動機。

■そして葵は今日も朝陽の椅子を引く

選択肢のない一本道のノベルゲームにも、名作はたくさんあります。久々にそんな、選択なしの読むだけノベルをご紹介です。「White Epilogue」。日本語にすると「白い終幕」。雰囲気のあるタイトルです。

さて、いきなり苦言になりますが、選択肢なしのノベルの場合、序盤が鍵です。選択肢がなくただ読むだけですから、序盤でだらだらやっていたら、かなりの確率で放り出されゴミ箱行きになります。そして今作は、序盤が圧倒的に単調で退屈なんです。前半は主人公である朝陽の一人称で語られますが、ここは正直文章も上手いとは言い難いです。ひたすら連続失踪事件を調査するだけ。しかも、高校生らしい実にたわいない方法で。なので非常に読んでいて退屈です。ここで挫折してしまう方もいるんじゃないでしょうか。だとしたらもったいない事です。この作品も他の多くの作品同様、後半はかなり盛り上がるんですが。

次に目に付くのは、キャラの名前がライトノベル風というか、かなり独特で覚えにくいです。特に名字くらいは普通にした方が、違和感もないんじゃないかと思いますが。作品の出来映えに直接関連はしませんが、色んな作品を読んでいると、そこはちょっと気になります。

そしてこれも作品の内容にはそう関係ないですが、前半は立ち絵があるのに、後半になると立ち絵がなくなります。かえってない方が雰囲気を高めていましたし、これで良い気もしますけどね。ツールはNScripter。システムはかなり作り込まれてますが、既読スキップその他は、シンプルにツールバーでさせてもらえる方がやりやすいかなと感じました。

とまあ目に付く欠点もありますが、後半の展開はそれを補って余りあるほどです。この作品は章立てになっていて、新章に進む度に一度タイトルに戻るんですが(「Succession of the Life」と同じ手法です)、それぞれの章がしっかりバランスの取れた構成になっています(第1章だけは、かなり冗長で単調ですが)。また、作品は主に冒頭でも出て来た連続失踪事件を核に展開しますが、事件と、更にそれに絡む謎に関する伏線の巡らせ方がなかなか巧妙ですね。読みながら「あれ? 何で?」とちょっと違和感を感じた箇所が、ちゃんと後で説明されていたりします。

そしてラスト近く。緊張感を持続したまま展開し、犯人や動機も明らかになるんですが、この犯人の動機はちょっと無理があるような……。その他の事実には結構伏線が張ってあるのに、犯人については何の伏線もなかったから、意外というよりは「唐突」感がかなり強かったですし(正確に言えば、伏線は張ってるんですが、張り方が不十分な上、その伏線が全く生きてないんです(汗))。

「意外な人物が、実は精神的におかしかった」で何でも済んでしまうなら、推理物なんて適当に作り放題だと思うんですけど(苦笑)。あとは、一部の謎が結局明らかになっていない点も気になります。未来のパソコンのキーワードにもなってたあれは結局何? とか。まあその辺りを抜きにしても、ラストと後日談はかなり感動的で、十分良い物語を楽しめました。

そうそう、これもちょっと気になった点です。音楽はOGGなんですが、あんまり音質が良くないというか、良い音源で鳴らしてない感じがします。MIDIではなくMP3やOGGにするなら、それだけの容量を負担する訳ですし、もうちょっと良い音源で鳴らして欲しいかな、と思いました(うちのMUの方が良い音出すような……)。曲自体は素材の選びどころもまずまずだったと思います。

全体に、「若さ」(良い意味でも悪い意味でも)を感じる内容ですが、物語としては水準以上の出来映えだと思います。プレイ時間は3時間。前半で投げ出さず、第1章ラストの事実に驚いたら、そこからがこの物語はいよいよ本番。腰を据えて読んでみてください。

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