第813回/私はお前のヒロインだ! - タリナイモノ(PBP) - 恋愛
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第813回/私はお前のヒロインだ! - タリナイモノ(PBP)

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タリナイモノ

タリナイモノ■制作者/PBP(ダウンロード
■ジャンル/泥沼爽やか三角関係ノベル
■プレイ時間/5時間

高校1年生の賢就大楔は、高校の入学直後、10年いつも一緒にいる幼馴染の要咲まりかに告白していたが、今はそういう風に見られないと断られてしまう。そんなある日、大楔の教室に突然2年生の遵守彩子が現れ、いきなり大楔に告白していた。思わずその告白を受けた大楔だが、非常に変わり者の彩子にペースを乱されっぱなし。のんびり三角関係恋愛物語。

ここが○

  • 彩子のちょっとずれたところが面白い。
  • 特に1枚絵がとても綺麗。
  • 三角関係ものなのに何故か雰囲気が明るく爽やか。

ここが×

  • 主人公の優柔不断ぶりにはちょっとイライラするかも。
  • オチも納得しがたいものが。
  • キャラクターの扱いにちょっと難あり。

■私はお前のヒロインだ!

タリナイモノ1時間以内の短い作品は、プレイし易いのですが、やはり長い作品には長いだけの満足感があります。そして、最近は短編・掌編を中心に物凄くたくさんの作品が毎週公開されますが、数時間かかるような長編は、そう簡単に出てくるものではありません。なのに意外と、過去の作品でもご紹介していないものが結構あるんですよね。できれば、数が多い訳でもない長編は、過去の作品もなるべく補完したいと思っています。今回は、そんな少し古めの長編作品をご紹介です。

舞台は高校です。そしてヒロインが2人いるのですが、ルートが2つある訳ではありません。ルートは1つです。何とこの作品、「三角関係もの」なのです(笑)。三角関係ものって、例外なくどろどろした展開が続くものですが、この作品は何だか妙に爽やかです。その爽やかさが、逆に終始違和感になってしまったところもあるのですが、三角関係ものとしては、変に読み手の気持ちが澱まないという点で、他の恋愛ものにはない特徴があると言えます。

主人公の名前は賢就大楔。「かしづき・だいせつ」と読みます。読めません(汗)。彼に限らず、変わった名前の登場人物が多いので、最初は少し戸惑うかも知れません。ともかく、その大楔には、10年来の幼馴染、要咲まりかがいました。まりかは、主人公が幼い頃に母親を亡くして以来、姉代わりとも言えるような役割を果たしてきて、そのためか大楔はまりかを「まり姉ぇ」と呼んでいます。そんなニックネームの声優さんがいましたね(笑)。

そして、大楔は高校の入学直後、勇気を出してまりかに告白するのですが、まりかはその告白を断ってしまいました。さらにある日、大楔の教室にいきなり現れた、2年生の遵守彩子(これも読めませんね。「したもり」と読みます)が、大楔に告白してきました。その場の流れで、何となくOKしてしまった大楔。かくして2人は付き合うことになるのですが、やることなすこと変わり者の彩子に、大楔は振り回されるばかり。更に、そういう状況でまりかが大楔に妙に接近してくる始末。

タリナイモノこの作品、絵がかなり綺麗ですし(まりかと彩子で絵柄が違う感じですが、絵師さんが違うんでしょうか)、メインキャラはフルボイスです。1枚絵の数も多いですから、色々な絵を見るだけでも楽しめると思います。そしてキャラクターも個性的です。個性的なのですが、個性の付け方がちょっと明後日の方向を向いていると感じる点もありました。

例えば、まりかの志士に対する態度がかなり酷い。志士にも何か問題があるならともかく、彼は結構男気のあるいい奴なのです。なので、ただまりかの印象が悪くなっていくだけ、という(笑)。そんなまりかが後半シリアスな台詞を言っても、印象が悪いままなので、どうにも素直に受け入れることができませんでした。もう少し、この2人の関係は他にやりようがあったのではないでしょうか。

一方、もう1人のヒロインの彩子はなかなか面白いキャラクターでした。ちょっとというかかなりの変わり者なのですが、それが嫌味になっておらず、素直なところも見せてくれるなかなか可愛い女性です。特に、途中とある恋愛シミュレーションゲームのパロディが入る箇所は、ストーリー上はほとんど意味がないのですが、笑ってしまいました。あそこは、大楔の側にももう少し空気を読んで、ノリノリでやって欲しかった!(笑)

そして主人公の大楔。彼がこの作品の最大の癌と言いますか……(汗)。彩子と付き合っているのに、まりかとも相変わらずの関係を続け、優柔不断の極み。そんな彼なので、やはりシリアスなシーンでの台詞に説得力がありません。まあ、まりかとの関係については、まりかにも原因があるのですが(大楔を振った原因が、ちょっと意味不明ですし……)。序盤こそ彩子が大楔を振り回している感じですが、大楔がそんな有様で、後半は逆に大楔とまりかが彩子を振り回していたような。彩子がちょっと不憫に感じてしまいました(志士も不憫ですよね)。物語は結構長く、キャラクターのやり取りは面白いのですが、中盤くらいまでは物語の向かっている方向が見えず、少しだれてしまう点があるのは否定できません。

そういう意味で、ちょっとキャラクターの扱いやストーリーの構成が荒っぽい感じがしました。そこへ来てオチが……。いやまあ、誰も不幸になっていないと言えばなっていないのですが、このもやもやした感覚はどうすればいいのだろう、と(笑)。しかし、ラストシーンに持っていくまでの流れは、それまで積み上げた登場人物の関係を上手く使って意外性を出していますし、しっかり盛り上げてくれていました。こういう手法が取れるのは、やはり長編作品ならではだなと、改めて実感しました。

ツールは吉里吉里です。プレイ時間は5時間くらいで、選択肢はありません。この時間で選択肢がない作品は少し珍しいですね。気になる点もあるものの、他の作品にはない個性を持った作品です。何せ、三角関係ものなのに雰囲気が爽やかなんですよ。こんな作品は他にはなかなかありません。ちょっと文章に持って回った言い回しはありますが、それでも「読ませる」パワーを持った物語でもあります。これだけ長い学園恋愛ものって、最近ではあまり見ませんし、しかもフルボイスは貴重です。じっくり腰を据えて楽しんでください。
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Comments 2

らいがー  

だいぶ前にやったけど、まりかのやばさだけは忘れられない。
ふざけて良い場面じゃないでしょ。驚愕の理由ですよね

2020/05/03 (Sun) 16:11 | EDIT | REPLY |   
NaGISA  
>>らいがーさん

確かにそうですね。私も驚いて、一瞬画面の前で固まってしまいました。

まりかは、キャラクターとしては好きな方なんですが、ちょっと行動原理に難がある感じですよね。良くも悪くも、非常に印象に残る登場人物であり、印象に残る物語でした。

2020/05/03 (Sun) 21:08 | EDIT | REPLY |   

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