第823回/君と一緒に新しい朝 - 超朝が弱い僕を起こしてください(寄り道小屋まい) - 日常
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第823回/君と一緒に新しい朝 - 超朝が弱い僕を起こしてください(寄り道小屋まい)

日常
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超朝が弱い僕を起こしてください

超朝が弱い僕を起こしてください■制作者/寄り道小屋まい(ダウンロード
■ジャンル/朝の目覚め詰め合わせノベル
■プレイ時間/1時間

朝、可愛い女の子が起こしに来てくれるというのは、男性ならば誰もが抱く永遠の夢。その「女の子が起こしに来てくれる」場面だけを体験できる、目覚めノベル。幼馴染、妹、許嫁、義母、ヤンデレ、クーデレ、僕っ子などなど、バラエティに富んだ22人のヒロインが、ただひたすら起こしに来てくれる異色の作品。特別編では意外な真実が明らかになる?

ここが○

  • 22人もの個性的なヒロイン。
  • 豪華フルボイス。
  • 特別編で明らかになる意外な事実が物語に深みを与えている。

ここが×

  • ただ起こしているだけで、お話としてあっさりしすぎのエピソードも結構ある。
  • 立ち絵の絵柄がばらばらで違和感を感じることも。
  • 特別編はちょっと語り足りない感。

■君と一緒に新しい朝

超朝が弱い僕を起こしてください何とも物凄いコンセプトの作品の登場です。ヒロインの数って、多くても3人くらいで、4人を超えるとかなり多いなと感じられるのですが、この作品に登場するヒロインの数は、なんと22人。ヒロイン22人のマルルチシナリオの分岐恋愛ノベル……という訳ではありません(そんな作品があったら凄い)。

恋愛ものの冒頭部の定番展開として、ヒロインが主人公の部屋に起こしに来てくれるというものがあります。そんな展開、現実ではまずありえないことで(同棲か結婚でもすれば別か)、だからこそ作り事の世界ならではの、男の憧れとでもいうべきシーンですが、この作品はその「朝のヒロイン目覚まし」だけを集めた掌編集です。色々な性格のヒロインが、ただひたすら主人公を起こしに来る、その様子を楽しむ作品です。よくもまあ、こんな作品を考えついたものだと、まずその発想に感心しました。

そして、ただ単に22人のヒロインの「目覚まし」を体験できるだけではありません。ある程度読むと、「特別編」とでもいうべきシナリオが解放され、それを読むと、この物語の真実が分かるという仕掛けです。システム的には「ショート・ショート・ショート100」と似た感じです。この特別編が全部で6本あり、本編と合わせて28本のシナリオです。1本は2分かからないくらいの時間で読めますので、大変手軽。

主人公の名前は成瀬優馬(苗字が出てきたのが1回しかないような)。彼の素性が物語内で詳しく説明されはしないのですが、見ていると高校生くらいのようです。そしてその優馬は、非常に朝が弱く、自分で起きることができません。なので色々なヒロインがあの手この手を使って優馬を起こしにかかります。何せヒロインが個性豊かで、優馬とのやり取りも様々。どたばた会話系日常劇がお好きな方であれば、こういうのはきっと楽しめるはずです。

超朝が弱い僕を起こしてくださいそして特別編では、この尋常とは思えない本編の展開の秘密が、少しずつ明らかになります。これが意外とシリアスなんですよね。最後まで読むと「なるほどそういうことか」と思わされました。冒頭はちょっと悲しい感じですが、ラストの落とし方は、正攻法でありながら収めどころが上手く、そのままでは雑多な印象もある本編に、まとまりを与えていたのは良い構成です。

ただこの特別編、少し語り足りない印象があります。特別編の5回目で、ちょっと難しい設定が出てきて、更なる裏事情を示唆しているのですが、それは結局詳しく説明されないまま終わってしまいます。特別編の設定があってこそ、本編のちょっと荒唐無稽な物語があるという発想は大変面白いのですから、もう少し特別編を深く掘り下げてみれば、かなりの名作になったような予感もしました。そこがちょっと惜しまれます。

また、特別編は3本目まで読むと、とりあえずはメインのストーリーは終わってしまうんですよね。4本目と5本目は番外編で、6本目はヒロイン総出演のおまけのような扱い。せっかく本編を読むと少しずつ解放されるという作りなのですから、展開バランスをもう少し工夫すれば、全体として統一感がとれたのではないでしょうか。おまけはヒロイン総出で賑やかですが、そのせいか立ち絵のバランスが合わないキャラがいたのも少し気になったところ。まあ、22人分も同じ絵師さんで立ち絵は用意できないでしょうから(お馴染みの素材キャラも結構いました)、そこは仕方ないですが。

ヒロインは、何せ22人ですから必ず1人や2人はストライクゾーンに来る子がいるはずです。妙にヤンデレが多かった気がしたので、そういうヒロインが好きな人には嬉しいかも知れません。22本も掌編があるので、中にはただ朝の一場面を描いたような、取り立てて物語としての盛り上がりやオチがない話もありましたが、掌編としてなかなか上手く構成されたものもあり、なんと言ってもそのバラエティの多彩さには圧倒されました。

システム的には不便はないですが、テキストウィンドウが薄い黄色で、そこに白い文字(細い黒の縁取りがついてはいますが)が来るので、少し読み辛く感じました。フォント自体は見易いので、慣れかも知れません。それと、途中アイキャッチ画面で一度フリーズしました。まあ、セーブは自動ですからそうなれば慌てずにもう一度起動すればOKです。ヒロイン選択画面で「クリア数」のボタンをクリックすると、クリアしたヒロインが分かるようになっていますが、これは最初からそういう表示にしていても良かったようにも思います。

ツールはティラノスクリプト。シナリオ選択以外に選択肢はなく、プレイ時間は40分〜1時間です。驚くことに、22人のヒロイン全員がフルボイスです。声や演技もキャラクター同様個性があって聞き応えがありました(ただ、当然録音環境に差があるはずで、ちょっと音質や音量の不均一が目立つ場面も)。とにかく発想の面白さには唸らされました。この発想を、もっと練り込めば次回作はより凄い作品が出てくるのではないかと、密かに期待して待っています。
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