第827回/猫はいつでもそばにいる - MYペット曜日(あおぞら幼稚園) - 恋愛
FC2ブログ

NaGISA net - フリーノベルゲームレビュー

ARTICLE PAGE

作品リスト(通常) - 新着順名前順プレイ時間順ジャンル別
作品リスト(掌編) - 新着順名前順ジャンル別
Peing質問箱(リクエスト、ご質問お気軽に)

第827回/猫はいつでもそばにいる - MYペット曜日(あおぞら幼稚園)

恋愛
  • comment0
  • trackback-

MYペット曜日

MYペット曜日■制作者/あおぞら幼稚園(ダウンロード
■ジャンル/転校生は猫少女ノベル
■プレイ時間/35分

高校生の藤本修二は、無類の猫好きで「みゅー」という猫を飼っていた。目の中に入れても痛くないほどに可愛がっていたみゅーだが、ある日突然姿を消してしまい、修二は意気消沈。そんなある日、修二のクラスに転校生がやってきた。見た目も性格も可愛いその少女、猫野美夢は、瞬く間にクラスのアイドル的存在になるのだが。お気軽ストレートな学園恋愛物語。

ここが○

  • 絵がとても可愛く、短編だが1枚絵も豊富。
  • 何も考えずに楽しめるストレートな内容。
  • ヒロインが魅力的。

ここが×

  • いくらなんでもストレート過ぎでは。
  • 主人公の母親がちょっと酷いのでは。
  • 色々投げっぱなしの感がある展開。

■猫はいつでもそばにいる

MYペット曜日またもや登場、懐かしの「あおぞら幼稚園」の作品です。公開は2007年。フリーノベルゲームに、今とは違った意味で非常にパワーがあった頃ですね。「あおぞら幼稚園」の作品はたくさんあるのですが、どれからプレイするかは迷うところでもあります。処女作にして、「あおぞら流」が炸裂しまくっている「おにあい」からプレイするのもいいですが、この作品は短くてあおぞら幼稚園らしさが物凄くストレートに出ており、掌編の「がくさい」と並んで、「あおぞら」入門にはいい作品だと思います。

あおぞら作品は、短編であっても贅沢に1枚絵を使った作品が多いのですが、この作品も類に漏れず、非常に可愛い立ち絵と1枚絵で、プレイヤーの目を楽しませてくれます。まあ、ヒロイン以外には立ち絵がないというのも、お馴染みではあるのですが(笑)。そしてあおぞら幼稚園の作品は、ほとんど全ての作品でことごとく絵師さんが違うのです。そのどれもこれもがハイレベル。こういう交渉術というか、人の心を掴む能力において、雪双葉さん(作者さんの名前です)は非常に長けていたなあと、今でも思い出されます。

主人公の名前は藤本修二。普通の高校生なのですが、大の猫好きで、飼っている「みゅー」という名前の猫を、文字通り猫可愛がりしています。ところがある日、そんなみゅーがいなくなってしまいました。修二が必死に探すものの、結局みゅーは見つかりません。生きがいを失ったかのように落ち込んでしまった修二ですが、ある日彼のクラスに転校生がやってきました。小動物のような可愛らしさでクラスメイトを釘付けにしたその少女の名前は、「猫野美夢」(ねこの・みゆう)。

はい、ここまで読んでもうどんな話か想像がつきましたね? その通りのお話です(笑)。名前もさることながら、ヒロインである美夢の見た目にも度肝を抜かれます。髪型が、まるで猫耳です。全く秘密を隠そうともしていません。ここまで分かりやすく、開き直ったくらいストレートに書かれた物語も珍しいほどで、清々しささえ感じました(?)。

MYペット曜日これで興醒めするか、あるいはあまりの分かりやすさにかえって興味を惹かれるかは人それぞれだと思いますが、何度も書いているように、2020年現在これほど捻らない直球勝負の物語に出会えることも、あまりないように思えます。読み手に解釈を委ねる晦渋な物語も結構増えていますから(もちろん、これはどちらがいいなどという問題ではありません。念のため)、逆にたまにはこういう物語に触れると、意外とバランス感覚が養えるかも知れません。

とにかく物語には、何一つ捻ったところがなく、予想通りに進みます。言ってみれば、100%美夢の可愛らしさを味わうためだけの物語です(笑)。そういう作りもありだと思います。そしてヒロインの美夢には、そう言い切れるだけの可愛らしさがあるのです。見た目はもちろんですし、喋り方が「僕っ娘」で、その筋(どんな筋だ?)の方にはたまらないでしょう。あざといと言えばあざといのですが、そのあざとさが嫌味っぽくありません。あざとさの具合が絶妙で、これはあおぞら作品のヒロインに共通する特徴かも知れません。

ヒロインがあざとすぎると、ちょっと冷めてしまいますし、逆に全くあざとさがなくても、物語に入り込めません。この塩梅がいいため、物語自体には全く捻ったところがなくても、ヒロインの力だけで引っ張って行けているのでしょう。あおぞら作品のヒロインをそう思って眺めてみると、あざといのに、あまりあざとさを前面に押し出していないことに気付きます。こういうやり方もあるのですね。

ただ、全く物語に捻りがないのはいいとしても、細かいところを見ると結構突っ込みどころもあります。修二の母親がちょっと酷すぎるのではとか、その割に美夢を簡単に家に泊めてあげるのはどうなんだとか、美夢に帰る家がないという設定も力技過ぎではとか、そもそもラストの後どうすんのとか、詰めの甘さが目につきます。そこはあまり気にしない方がいいのかも知れませんけど、ねこのみゅー(猫野美夢ではなく(笑))がいなくなった理由くらいは、もう少し練り込んだ方が良かったように思います。

例えば、修二が猫にのめり込みすぎて、生活が成り立たなくなるレベルになったとか、修二のお母さんの行動が「ちょっと酷いけど、これなら仕方ないかな」という理由づけが何か欲しかった気がします。そこをもう少し踏み込んでいれば、捻りがなくても、否捻りがないからこそ、より「化けた」物語になったのではないでしょうか。捻りのないストレートな物語は、シチュエーションさえ上手くハマれば、変に捻った物語より、読んだ時プレイヤーに与える感銘は大きくなることがありますからね(捻り過ぎると、捻りを理解する方に読者はパワーを使いますから)。

ツールはNScripterです。ラストシーンの後素っ気なくタイトル画面に戻るのは、いつものあおぞら仕様です。簡単でいいからエンディングクレジットがあればなと、いつも思っていたのですが、その分おまけで1枚絵がちゃんと見られるのは嬉しい配慮です。選択肢はなく、プレイ時間は30〜40分くらい。シナリオではなく、ヒロインの設定とシチュエーションを工夫するだけでも、ちゃんと個性を出せて物語として一品になるという、いいお手本だと思います。
関連記事

Comments 0

Leave a reply