第97回/未来を知って過去に還る - 送電塔のミメイ(里見しば) - 伝奇
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第97回/未来を知って過去に還る - 送電塔のミメイ(里見しば)

伝奇
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送電塔のミメイ

送電塔のミメイ準推薦
■制作者/里見しば(ダウンロード
■容量/73.7MB

コゴリ鬼と呼ばれる化け物が巣食う小さな島へ、ミメイという少女がやって来た。自らが持つ特殊能力で、コゴリ鬼を討つために来たミメイは、左目に眼帯をしている夜刀という青年に出会う。コゴリ鬼との戦い、そして島の人々との交流。全てが高品質な、伝奇ノベル。

ここが○

  • 背景、立ち絵、演出、全てが高品質。エンディングムービーには恐れ入った。
  • 文章力抜群。意外な展開を見せる緻密なシナリオも良く出来ている。
  • 登場キャラが全員素晴らしく魅力的。

ここが×

  • 少々難解な面もある。
  • ちょっと淡々としすぎている嫌いも。
  • 品質から見れば納得するものの、かなり大きい容量。

■未来を知って過去に還る

あの「TRUE REMEMBRANCE」の作者さんの新作です。とにかく、あらゆる面でクオリティが非常に高い作品で、随所で唸らされます。前作のファンの方は、迷わず即ダウンロードして間違いありません。前作はファンタジー風味でしたが、今作は伝奇ものです。主人公のミメイが、廃墟離島と呼ばれている(そのまんまな呼ばれかただな(笑))島へ、コゴリ鬼という化け物を退治しにやって来る場面からスタートします。伝奇ではありますが、派手なアクションなどより、緻密なシナリオ、精妙な描写が特徴となっています。前作同様、選択肢なしの一本道ノベルです。

前作でも印象的だった、騒ぎ立てない淡々した語り口は、今作でも健在です。TRUE REMEMBRANCE同様、文章は登場キャラの一人称で書かれており、章ごとにキャラクターが変化します。とにかく、文章力には脱帽の一言。時代設定は明記されてませんが、昭和初期くらいなんでしょうか。雰囲気もたっぷりです。

また、背景画像と言いキャラの立ち絵と言い音楽と言い演出と言い、全てが非常に質が高くなっています。特に古民家の画像などは、良い物を使ってますね。こう言った時代背景の作品の場合、日常の背景画像の選び方でかなり雰囲気が変わってくると思いますが、非常にしっかり作られています。音楽も、派手さがないところが逆に雰囲気によくマッチしていますね。

シナリオは、かなり緻密に作られています。そんなに派手な物語ではないんですが、なるほどと唸らされる展開も多く、プレイ時間は結構長い(私は3時間半くらいかかりました)ですが、飽きさせないでしょう。また、登場キャラクターが、老若男女、残らず非常に良く描けており、作品の魅力を一段と高めていると思います。

無骨ながらさりげない気遣いを見せる夜刀、子供らしく無邪気なハナ、気丈だが女性らしさも忘れないナギ、素直になれないが芯は温かい杏子。みな個性的で、かつ魅力的です。ここまで「読み物」としての質が高い作品には、そうそうは出会えないと思います。恐れ入りました。

じゃあ何故「推薦」じゃないんだという話ですが、例えば同じ伝奇ものの「ひとかた」「外道狩り」と比べても、(恐らくわざとそう言う方向にしているんでしょうけど)エンターテインメント性に欠ける面があるんですね。また、シナリオは緻密ではありますが少々難解な面もあり、実は私も100%は内容を把握しきれてません(爆)。読み手の想像力に委ねられているような箇所も、結構あります。

あくまで個人的な好みになりますが、私はノベルゲームには「読み物としての質の高さ」より、「いかに楽しめるか」を求めている上、伝奇ものはちょっと好きとは言い難いですので、悩んだんですが「準推薦」という事にしました。また、前作と同じような感じの展開と言えなくもないですし。逆に、ノベルゲームに純粋に「読み物としての読み応え」を求める方で、更に伝奇ものがお好きな方でしたら、この作品は間違いなく大推薦です。「ひとかた」「外道狩り」より「茜街奇譚」の方が好きな方なら、この作品はずばりストライクゾーンでしょう。

それにしても、エンディングムービーには度肝を抜かれました。ハッピーエンドとは言えないまでも、終わり方も非常に綺麗な物語なんですが、あのエンディングムービーは余韻を一層高めてくれます。「TRUE REMEMBRANCE」のファンの方、伝奇好き、シリアスで歯応えのある長編をお求めの方、ここに打ってつけの名作が登場しましたよ。是非プレイされてください。この作品が気に入った方は、前作「TRUE REMEMBRANCE」もどうぞ。
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